遅咲きプリンセス。
「課長、試作ポーチのことなんですが、先日、デザイン画だけでも諸見里さんにお見せしませんか、とは言いましたけど、やっぱり実物もお見せする方向で考えてみましょう」
「お、おお……!じゃあ、そうしよう!」
「つきましては、課長にもお手伝いして頂けたらと思っています。よろしいでしょうか」
「かまわん、かまわん!そうだ、工場の手配は俺がするから、鈴木はプレゼンの準備を進めておいてくれないか。手分けしたほうがいい」
課長に頼みに行くと、やはり相当、すまなかった……と思っていたようで、倒産してしまった工場の代わりに試作ポーチを作ってくれる工場を探してくれる、ということで、話がつく。
私がこの週末で急激にあか抜けた原因が如実に分かっているため、上司といえども、部下に気を使わないわけにもいかなかったのだろう。
なんだか健気な課長である。
けれど私は、何もそこまでして気を使って頂かなくてもいいのに、と、逆に申し訳ない。
ただ、プレゼンの準備もいよいよ大詰めになってからの発注先の倒産だったので、課長が別の工場を当たってくださるのは本当に助かる。
土曜日、美容院で髪を切ってもらっている最中に、やっぱり、と思い直したのだ。