遅咲きプリンセス。
 
諸見里さんのモニターになってからというもの、藤原さんにはじまり、有村君に課長まで、グロスの効果でやたらとキスを迫られ、わりと散々な思いをしてきたけれど。

そして、つい3日前は愛しの菅野君に意図せず告白してしまった形になり、今日はまだ一言も話せないどころか避けられているけれど。


……でも、そんな諸見里さんのおかげで、私だってお洒落したいという願望や、地味な自分から抜け出そうともがけたり、外見もやっぱり大事なんだと気づくことができたりもした。

そうして、ここ数ヶ月を振り返ってみれば、けして悪いことばかりではなく、たくさんの“気づき”があったことが、本当によく分かる。


菅野君とは、これからどうなっていくのかは果てしなく未知数だけれど、菅野君のほうから告白したくなるくらいに魅力的な女性になって、キスをねだられるくらいになろう。

大げさだけれど、本当に大げさだけれど、こんなふうに思えるようになれたのも、やっぱり諸見里さんのおかげだと思うから。

だから、この仕事は絶対にうちの会社がもらうし、そのためには一切の手抜きだってしない。


「よし、頑張ろうっ……!」


これが私なりの、ダサ子の乱だ。
 
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