遅咲きプリンセス。
◇遅咲きプリンセス
そうして迎えた、プレゼン当日。
「ーー以上です」
終始、ふむふむと頷き、私の言葉に耳を傾けていた諸見里さんは、プレゼンが終わり、私が一礼すると、ふいに顔を上げてこう言った。
「この間とは、ずいぶん雰囲気も気持ちも違うわね、鈴木ちゃん。そういう頑張る女の子って大好きよ。応援したくなっちゃうわ」
「……あ、ありがとうございます」
てっきり疑問点などを質問されると思っていただけに、諸見里さんの、一見するとなんの脈絡もなさそうなその言葉に意表を突かれた私は、少々出遅れつつも、そう返事を返す。
そうすると諸見里さんは、うふふっと微笑み、さらにこう、言葉を続けた。
「とりあえず、検討させて頂くわ。ここで他社の話をするのもどうかとは思うけど、これからプレゼンを受けることになっているの。結果は後日ということで、そのときは鈴木ちゃんを私のオフィスに呼ぶから、覚えておいてね」
「は、はいっ」
「ふふ。それにしても、鈴木ちゃんにとってこのグロスは、とっても効果があったようね。もう改良をしなくてもいいみたいだし、グロスだけでも、さっそく鈴木ちゃんとこと契約しようかしら。なーんてね。それも後日よ」
「はあ……」