キツく抱き竦めて
「あ、そうだ」
私はポーチの中からリップを取り出すと蓋をあけた。
このリップは自然的だから素っぴんでも合うような気がする。
ゆっくり丁寧にリップを塗ると、存在感のなかった唇がプルっと輝いてとても目立っていた。
これで大丈夫…
リップをポーチの中にいれると次は眉毛が気になって、眉毛を薄く書く。
そして次は――
「キリがないからやめておこう」
次々欲が出てくる私自身に苦笑いを浮かべるとポーチを鞄の中にいれてから、総人くんがいる場所に戻った。