キツく抱き竦めて
02
一方的に別れたいと私に告げ別れたい理由すら教えてくれない相手と付き合ってたなんて――、情けない。
あれから私はよく覚えていなくて、気が付くと夜道を一人で歩いていた。
ここはどこなんだろう?
虚ろな目で周りを見渡してもよく分からなくて、やはり夜道という事しか分からない。
「はぁ…」
溜め息を吐いてとぼとぼと歩く私の頭にピチャンと滴が当たりまた溜め息を吐き出した。
最悪としか言いようがない。
空を見上げると大きな雨雲が徐々に近付いてきてるのが分かり、ザーッと雨が降りだすのも時間の問題。
そして残念な事に今日は折り畳み傘を持ち歩いていない。
「ロッカーに置いたままで出てきちゃったから…、なんで今日はこんな悪い事続きなの」