キツく抱き竦めて
ホットココアを一口つける私に総人くんは言いにくそうに口を開いた。
「……理由聞いていい?泣いてた理由」
当然だと思った。
それに泣いてた私をわざわざここに連れてきてくれた総人くんにはそれを知る義務もある気がして、私は小さく頷く。
「の…、彼氏に振られちゃった。いきなり来ていきなり言ってきて、私と別れたいと思った気持ちも全く教えてくれなかった」
「――」
「私はずっと好きだったんだよ。仕事が忙しくてもなかなか会えなくても別れたいなんて思わなかったし、けど違ったんだなって」
マグカップを持ったまま俯く。
顔を上げたらまた泣いちゃいそうで、マグカップの中身だけを見つめていた。
「縋る事も出来なかった…」