愛おしいって気持ち【短編】





「よしっ!!」













なんでもしよう!
みんなに認めてもらえるように!
少しでも、藤野さんに近づけるように!












「あー、藤野さん……は、出張か。」













気合いを入れてるとそんなことを言いながら途方に暮れたような顔をしている男性社員が目の前を歩いていった。










「あの…私にやらせてください。」












「えぇ?君に?できるの?」













「これをコピーですか?」













「違うよ。この資料のこの部分がどうしてもわかんないから、藤野さんにやってもらおうと思ったんだ。」












英語で書かれたその資料。
確かにちょっと難しそう。












「私、やれます。」











「そうか。じゃあ今日中にだから。」














「はい。」











勉強なら、大学にはいるために一生懸命頑張ってきた。
国立の大学に二人で入ろうねって。









自分のデスクに戻り、パソコンにどんどん打ち込んでいく。






そして、気づけば…










「終わった~!」











社内にいるのは数名で。



とりあえず、斜め前にいる黒澤さんに資料を渡す。












「これ、ギリギリになって、申し訳ございませんでした。」













「はい。じゃ、帰っていいよ杉山さん。」











「はい、失礼し「た、た、大変だぁ!」













帰ろうとしたそのとき、最近入った後輩君の声が響き渡った。










「どうした。」











「く、黒澤さん。あ、あ。」












「落ち着け。ゆっくり話してみろ。」












「データ…を、消してしまいました。」
















「データ!?何を、何ヶ月分なの!?」










そっと聞き耳を立てるだけのつもりだったが、思わず大きな声で聞く私。













「俺が入ってからだから、3ヶ月分です。バックアップ…できてなくって、俺、聞くのが怖くて…。」












「3ヶ月か…。とりあえず、会議で使うデータは戻さないと。」










「すみません!すみません!」











「謝ってる場合じゃないだろ。杉山、あの資料は課長と頼まれた田中さんか?にメールで送っておけ。」










「はい!」












「駒野。俺も手伝う。」













「すみません!」








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