愛おしいって気持ち【短編】




メールをし終わり、何もすることのなくなった私は後輩君と黒澤の後ろを歩いてみる。










案の定、黒澤は
「杉山さん。もう帰っていいですよ。お疲れさまでした。」










と言ったけれど、なんだか帰る気にもなれなくて。
だけどこれじゃ、邪魔しちゃうな。なんて考えているといいことを思いついた。











そして、財布片手に一階まで降りる私。



近くのコンビニに行き、サンドイッチやおにぎりを買う。
ついでに甘いものも。











黒…ま、いいや。絢人は実は甘党。
社内の人は見た目的に甘いものが嫌いと思っているけど実は甘いものが大好き。
おにぎりはツナマヨと、エビマヨ。
サンドイッチはレタスが挟まっているものが好きで…。



そして自分と後輩君用に適当に食べ物を買いあさり、急いで会社に戻る。













「っ、どれくらい…はぁはぁ。進みました?」













肩で息をする私に驚く2人。















「帰れと「差し入れです!お腹空いてませんか?」










袋の中をのぞき込む後輩君。
黒澤は見向きもせずにパソコンに向かっている











「腹減ったぁー。黒澤さん、企業のデータを見つけて、明日の会議の資料半分は終わらせました。」













「そうか。もう一時だし、腹も減ったな。ちょっと休憩するか。」











そういうと2人はゴソゴソと袋をあさる。

私はその間に2人分のコーヒーと1人分のストレートティを用意する。











「はいっ、どーぞ。」

 










「あ、すみません。俺、気付かなくて…」  











申し訳なさそうに頭を下げる後輩君。












「いーの、いーの。」












「ありがとう。」 












一口飲んで、フッと微笑を浮かべる黒澤。

なんか…なんかカッコいい。











「いいえ。あ、黒澤さんはこれとこれとこれでいいですか?」












「エビマヨ~!?ツナマヨ~!?そんなの、黒澤さん食べませんよねぇ~?」















馬鹿にしたようにこっちをみる後輩君。
ったく、なんも知らないくせに。













「いーでしょ。私が選んだの。文句ありませんよね?黒澤さん。」












「あぁ。」
















「えー。黒澤さん可哀想っすー!」













「んー?そんなこと言うならあげないわよ?静かに食べなさい。」
















なんだかふてくされたように食べる後輩君はなんだか小動物みたいで。
一方、黒澤は本当においしそうに食べてくれてなんだか嬉しかった。












「これもど~ぞ!」













隠していた袋を机の上に置く私。



その中にはモンブランとロールケーキとプリンが入っている。













「うひゃー、俺、甘いの無理っす!でもプリンもらいまーす!」


 







  


言うことが矛盾してる気がするけど…
まぁいっか。




無言でモンブランをとる私に黒澤ははぁっとため息をついた後、小さな声で












「なんかいろいろバレバレだな。」











といった。
優しそうな笑みを浮かべている彼は本当に久しぶりに見た気がして、とても嬉しくなった。









そしてその日は私も手伝って、無事朝までにちゃんと元通りになった。












「つ、づがれだー。」












机に突っ伏すとそのまま私は静かに目を閉じた




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