愛おしいって気持ち【短編】
「うひゃー。」
疲れてデスクに突っ伏する。
時刻は10時55分。
今日もなかなか頑張った!
よし、帰ろ…
えっ、黒澤さん残ってるの!?
え、もしかして毎日残ってるんじゃ…
「黒…澤…さん。あの、まさか毎日「毎日じゃないから安心しろ。それよりどうした今日の格好と今日の頑張りよう。なんかあったのか?」
「本当ですか…って格好は仕方ないじゃないですか!家に帰れなかったんだし、ろくな化粧できませんよ!えっ、頑張ってました?」
「あぁ、そうか。いやいや、頑張っていたことは頑張っていたが、それが普通だ。これまでのお前はちょっと異常だったし。」
「です…よねー。私がんばります!というより何やってるんですか?手伝「いらない。帰りなさい。」
「はいー。」
そんなんわかってましたー
わかりきってますけどー
けど!!一緒に…久しぶりに一緒に帰りたいって思ったり。
まぁ無理なのかなぁ。
ふと、明日の予定を見て思いつく。
「データの確認してるんですね。明日、必要だから。私そんなの思いつかなくて!申し訳ございませんでした!」
「謝られる筋合いはない。帰りなさい。」
ったく。
後輩君のために残業しちゃうなんて。
優しいとこはまったく変わってないんだから。
「じゃあお言葉に………」
甘えて失礼します。
と言おうとしたけれど、段ボールの上に置かれたプリントに目がいき言葉を失う。
これっ、明日藤野さんが必要な資料!!
しかもまだまとまってない!
「どうし「いえ。仕事が余ってたので。」
これの担当、確か原西さん!?
カタカタカタ
カタカタカタ
会社に響くのは私と黒澤さんのキーを押す音だけ。
そして、気がつけば…
「あーー終電逃したーーーー!」
終電には間に合うことなく残業終了。
「帰るかなぁ。いや、タクシー捕まえられるかなぁ?」
意外とここの近くにはなぜだかタクシーがあまり通らない。
捕まらずに…そのままなんてことはないよね?
「ど、どーしよ?ど「明日花。終わったんなら俺んち来るか。」
ここにいるのは、私と黒澤さんだけ。
つまり。
私の妄想or黒澤さんの言葉
妄想か…悲しいな。
「おい、明日花。来ないのか?」
「えっ、現実!?」
「はぁ?」
何を言ってるんだと言わんばかりの黒…絢人の顔に急いで返事をする。
「行きます行きます!!」