愛おしいって気持ち【短編】
「嘘つき。もー、あんたってそういうとこ素直じゃないんだからー!」
ぎゅっと鼻をつまんでくる優華。
「ちょっ、痛いって!!」
「あ、ごめ~ん!力入れすぎてたっ。」
優華の笑みに思わず私はびくっとする。
こ、恐っ!!
「優華。」
ふと声がして振り向くとそこには優華の彼。
「やっ、ちょ、たぁくん!?もうっ、来るんなら言ってよね~!!」
キャラが一変する優華に毎度のことながら、少しビックリしつつも、バイバイと手を振る。
「杉山ー!いんちょー!すーぎー「聞こえてるわよ!うるさいわね、黒澤は!」
いつものうるさい奴が来た。
「おー恐いわー。まぁ、迫力はゼロだけど。」
「なんですと!?」
いつも通りの口げんか。
だけど、いつもより勢いのない黒澤。
「黒…澤…??ね、どうしたの?」
「…ん、いや、なんも……。んー、やっぱこういうのは女子の意見も…いや、こいつは女子とは呼べるのか?」
失礼な奴!
「なーにーよ!」
「んー、告られそう。みたいな?」
ドクン。
ドキン。
なによ、今更。
いつも告られてんじゃない。
どうして私にいうのよ?
やだ。何この感情。
「そ、それで?いつも、告られてんじゃん。てかまだ告られてないのに告られそうってなんか自意識過剰なんじゃないのっ?」
「いや〜その子が結構いい子で。告られたら付き合ってみようかなって。だけど本当に好きってわけじゃないっていうか。ははっ、案外自意識過剰で終わりそーだわ!」
結構いい子ってなによ。
「ふーん。付き合ってみれ………」
何でよ。
何でよ。
わけわかんないよ。
なんか辛いんだけど。
どうして??
「おいっ?杉山?いんちょーさん?」
「いっ、いんちょーって呼ばないで!私は知らないっっ!!」
なんだかその場にいたくなくて走り出した私。
なんでっ?
意味わかんない。
この気持ちも。
黒澤の行動も。
全部が全部、わけわかんないよ!!