サ ク ラ ブ
目があって、先に視線を反らしたのは俺の方。
「や、大丈夫です」
「…フフッ」
面白いことなんて多分何一つ言っていないのに突然笑いだす彼女の方を見ると、
口元を細く白い手で押さえて 俺のことを見ている。
「や、敬語だったから…私年上に見えたかな、って」
「は?」
「君、九条湊君でしょ?」
首を傾げるようにそう問いかけられ、俺はまさか自分の名前を知っているなんて思うわけなく、小刻みに頷く。
そんな俺が面白かったのか、彼女はまた少し笑って もう一度口を開いた。