サ ク ラ ブ

「よろしく…」


よくわからない自己紹介が終わると、
彼女は腕についた時計を見て小さな声で ヤバ と漏らす。


そしてそわそわして時計から俺へと視線を変える。



「じゃあ、九条君、また後でね」



言うだけ言って颯爽と居なくなった彼女の
また後で、という言葉の意味を10分後、俺は視線の先にとらえた掲示板で知ることになる。





春、桜の季節。
始まりの季節。




これが、
僕と彼女の出会いだった。



< 15 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop