サ ク ラ ブ
恋に堕ちた。
「あ、湊そんなとこで何してんの?」
「おー、はよ。」
そんな風に俺に声をかけてきたのは友達の槙田愁(まきた しゅう)
ふわふわした猫毛は器用にセットされ、
軽く着崩した制服もやり過ぎていなくて、
ブレザーから見える白のカーディガンがいい良さを見せている。
かっこいいというよりは可愛いと言う言葉が似合う愁は、俺の挨拶にはよ、と返して俺に近付いてきた。
「クラス分け、人居なくなってから見るかなと思って」
そう言ったら愁はブハッと笑う。
「そんなの待ってたら遅刻じゃん。ほら、見に行こ」
そうして俺の今までの時間はあっという間に無駄な時間にされ、
愁に腕を引かれるまま人混みの中に体を踏み込んだ。