サ ク ラ ブ

恋に堕ちた。



「あ、湊そんなとこで何してんの?」

「おー、はよ。」


そんな風に俺に声をかけてきたのは友達の槙田愁(まきた しゅう)


ふわふわした猫毛は器用にセットされ、
軽く着崩した制服もやり過ぎていなくて、
ブレザーから見える白のカーディガンがいい良さを見せている。


かっこいいというよりは可愛いと言う言葉が似合う愁は、俺の挨拶にはよ、と返して俺に近付いてきた。


「クラス分け、人居なくなってから見るかなと思って」


そう言ったら愁はブハッと笑う。



「そんなの待ってたら遅刻じゃん。ほら、見に行こ」



そうして俺の今までの時間はあっという間に無駄な時間にされ、
愁に腕を引かれるまま人混みの中に体を踏み込んだ。


< 16 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop