サ ク ラ ブ
病院内は人でごった返していて、蒸し暑いぐらいだった。
受付を済ませ、
病人か、というような検査済ませ、
診断結果を待つためにかたいソファーに腰を落ち着かせる。
病院のロビーはあんなに人で群れて、ざわついていたというのに、
この場所はどんな風に切り離されているのか疑問なほど、
神妙な雰囲気を作り出す静かな場所だった。
人がいないわけではない。
むしろ、数的には多いのに、
話し声が聞こえないわけじゃないのに、
やっぱりここは圧倒的な雰囲気だった。
「九条 湊(くじょう みなと)さん」
「はいっ」
神妙な雰囲気の中で、やけに明るい声がして、
俺は開けられた扉の中に入った。