サ ク ラ ブ
椅子に座る医者は、俺が椅子に座ると、キーっと椅子を回転させて俺の方を見る。
なんもない、今だってそう思っているけれど、
それを確かめることがこんなに重いことなのか、
俺の心臓は馬鹿みたいに早く脈打つ。
「検査の結果ですけど…」
今にも心臓が口から出そうだった。
なんだよ、溜めんなよ、
緊張させんなよ、そんな言葉ばかりが俺の中で生まれる。
「…これといって異常はありませんでした。」
その一言に、ひどく安堵したことはもう当たり前だ。
何も異常がなかった。その一言にどれだけ安心したか。
俺は晴れ晴れとした気持ちで診察室を出る。