君とひとつ屋根の下で
声をかけて、優愛の手を握った。
「えみ先生、バイバイ」
「外崎先生、さようなら」
手を振る優愛の隣で、ぺこりと会釈した。
外崎先生は、笑顔で手を振ってくれた。
優愛と話しながら、歩いていく。
「優愛ちゃん、いつもお姉ちゃんが迎えに来てて、いいお姉ちゃんだよねぇ」
「でも、優愛ちゃんのお母さんって、全然家に帰ってこないって聞いたよ」
「家にいるけど、あの子たちには手を上げてばっかりなんだって。
なんでも再婚して、その人との間の子のことは可愛がってるらしいけど…」
「えっ、そうなの? 優愛ちゃんって、たまに変なところ怪我してくるな~とは思ってたけど…」
「知らなかったの? 有名な話なのに」
「お姉ちゃんの腕、煙草を押し付けたような跡がなかった?」
「なにそれ。怖い。 やだぁ」
「大丈夫なの?あの子達」
――――――お母様方のそんなひそひそ話は、聞こえないふりをして。