きみは金色


あー、おれ。ほんとかっこわるい。



市ノ瀬は、抵抗しなかったから。


だからしばらく、抱きしめたままでいた。


できるだけ息を止めて、そのあと短い呼吸を繰り返して。


抱きしめているのはおれだけど、支えているのは市ノ瀬だった。




「…おれと、付き合って」




何秒くらい、触れていたんだろう。




10秒間?20秒間?その短い期間。



もし心臓が、爆発するものだったとしたら。





「………う、ん…」





おれ、20回くらいは、死んだと思う。











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