きみは金色
でも、これは予想の範囲内。男たるもの、意志は曲げない。
周りなんていちいち気にしないって、決めたんだ。
おれは市ノ瀬に近づくと、1時間以上温め続けていた言葉を、喉の奥から取り出した。
「…一緒に帰ろ」
オオッ!!と一気にクラスが湧いた。
ビシビシ、背中に腕に、体のいたるところに飛んでくる視線が痛い。
大注目の中、市ノ瀬がものすごく気まずそうに、ゆっくりと口を動かした。
「…あ、えと、今日塾……」
「………」
「レオふられた〜!!」
裕也のふざけた声が飛んできて、こめかみ部分がピクッと反応する。
…裕也のヤツ、ほんっとになんも反省してねーよな。
合唱コンクールの前、一体だれの失言で気まずい感じになったと思ってるんだ。