きみは金色
なんとか校門までたどり着いたおれたちは、一緒に歩いて学校を出た。
教室で誘ったときも気合いは必要だったけど、今も心臓のバクバクは継続中だ。
右手と右足が一緒に出てしまいそうなくらいには緊張していて、自分でも動きがぎこちないのがわかる。
深く息を吐いて、自分自身に念じた。
…落ち着け。
とりあえず落ち着け、おれ。
歩きながら、タイミングを図りながら。
渇いた歯を、舌で舐めて。
大きく息を吸い込み直したあと、おれは市ノ瀬に話しかけた。
「…なー、市ノ瀬」
「は、はいっ」
キュッと全身に力を入れる、市ノ瀬。
…可愛いけど、なんで敬語。
市ノ瀬を見ていたら、まるまる全部。話そうとしていたことが、頭からすっ飛んだ。
「………や。えーっと……」