きみは金色

予想通り、そのあとはますます、会話がちぐはぐになった。


もしかしたら、右手と右足。本当に一緒に、出てしまっていたかもしれない。


多分はたから見たら、おれたちはとてもカップルには見えなかったと思う。


外見は真逆だし。

距離も、人間1人分余裕であいてたし。


彼氏彼女のイメージって、手をつないだりとか。


腕、組んだりとか。そういう距離感が、当たり前だと思ってたんだけど。



「…えっと」

「う、うん」

「……うん。塾、がんばって」

「あ……ば、ばいばい」



あっという間に20分経過して、たどり着いてしまった塾。


結局一定の距離は保ったまま、その日は市ノ瀬と別れた。



空は遠くて、青かった。


1人になってぼんやり、コンクリートの地面に立ち尽くして、思う。



…なんか。なんつーか。


いいんだけど。十分なんだけど。


なんっつーか、さあ。



「……ハァ」




…つきあってる感が、まだ、いまいち。









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