きみは金色
そう言うと、レオくんはあからさまに残念そうな顔をした。
ついさっき上がったばかりのまゆ毛をすぐに下げさせてしまって、なんだかとっても申し訳ない。
「…わかったー」
しょんぼり声のレオくんに、ごめんね、と言って、その場を離れる。
廊下に出たら、ツンと冬の香りが鼻の奥をついた。
…もうすぐ、春休みなのにな。
2年生でいる時間も残り少なくなってきた、3学期末。
まだまだ、周りの空気は冬のものがしぶとく残ってる。
さっきのレオくんの顔を思い出したら、ツン、と鼻をつく感覚が強くなった。
わたしと同じクラスの、飯田礼緒くん。
目立つグループにいる、金髪の男の子。
…レオくんは数ヶ月前から、わたしの彼氏だ。
人生で初めての存在に、わたしはまだ慣れることができていなかったりする。
レオくんが彼氏。そう思うだけで未だに、舞い上がって、恥ずかしくなって。
今にも廊下を、走り出してしまいそうになるから。