きみは金色

早足が、小走りになる。


足が自分のものじゃないみたいに、感覚が合わなくて。フラフラ、グラグラした。



…わたし、今が、ものすごく大事なんだ。


壊したくないんだ。だって今、わたしの人生で1番大きい、奇跡が起きてる最中なの。


だから言えない。壊してしまうようなことは言えない。


色々、先延ばしにして、飲み込んでしまう。


言いにくいことは、後に。


それが悪いクセだって、重々わかってる。



…わかってるけど、でも。







「……あ、終わった?」



息を切らして教室に戻ったら、目に飛び込んできたのは、学ラン姿。


ガランとした空洞の中、たった1人残っている、彼がいた。



放課後っぽく、ボタンが適度にはずれた学ラン。


体の力を全部抜いているその姿は、まるで机と一体化してるみたい。



「……レオくん」



…もしかして、待っていてくれたの?


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