きみは金色


授業中、眠気におそわれたとき。


応急処置として、おれはいつも、裕也の髪を見るようにしていた。


常に天に向かって立てられている茶髪。


それに串刺しになる想像をしたらめちゃくちゃ痛そうで、一瞬だけ、目が覚めるからだ。


でもここ数日、おれの視線は違うところにあった。



見てしまうようになった。



彼女を。


市ノ瀬 真子を。









「えー、この証明は、問3の応用であって……」



カツカツ、黒板とチョークがぶつかり合う音と、イワコウの枯れた声。


それが、教室の空気をいっそう気だるいものにしていく。



午後の、5時間目の授業。



頬づえをつく形で手のひらにのせている顔が、カクリ。


前に落ちそうになって、おれはあわててバランスを立て直した。


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