きみは金色
授業中、眠気におそわれたとき。
応急処置として、おれはいつも、裕也の髪を見るようにしていた。
常に天に向かって立てられている茶髪。
それに串刺しになる想像をしたらめちゃくちゃ痛そうで、一瞬だけ、目が覚めるからだ。
でもここ数日、おれの視線は違うところにあった。
見てしまうようになった。
彼女を。
市ノ瀬 真子を。
*
「えー、この証明は、問3の応用であって……」
カツカツ、黒板とチョークがぶつかり合う音と、イワコウの枯れた声。
それが、教室の空気をいっそう気だるいものにしていく。
午後の、5時間目の授業。
頬づえをつく形で手のひらにのせている顔が、カクリ。
前に落ちそうになって、おれはあわててバランスを立て直した。