きみは金色



いったん出てしまった言葉って、なかったことにはできなくて。



深くえぐるくらい傷つけたり、時には一生、染み付かせてしまったりするんだ。



ノートの落書きとかゲームのデータみたいに、簡単に消せたらいいのに。



そんなバカなことをいくら考えたって、意味ないことくらいわかってるけど。









「で、調子はどうだー?」

「死にたいです……」




真子と会ってから、3日が経過したその日。


夏休みなのにも関わらず、おれは制服を着て、わざわざ学校に足を運んでいた。



しかも出向いた場所は、学校内でもとくに居心地の悪いはずの、職員室。


だれ先生の席かは知らないけど、とりあえず空いていた席の机に、顔面を8割以上へばりつかせて座る。



「飯田、お前なぁ……」



そんなおれに、呼び出し張本人のイワコウは、深いため息を漏らした。


< 255 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop