きみは金色

呼び出してわざわざ自作問題集押し付けるなんて、イワコウはよっぽどヒマなんだろうか。


…うん、ヒマ人だな。絶対イワコウ、彼女いないだろうし。だって暴力オトコだし。


無関心なのか、おせっかいなのか。ほんとイワコウって、よくわからない。



そんなことを思いながら、たたかれた頭を軽くさする。



「つーか夏休みなのに、センセーたちも休みじゃない……ん、ですね」



なんとか敬語に仕上げたおれに、イワコウはめんどくさそうな声で答えた。



「…あー?だれもいないってわけにはいかねーしな。順番で学校に来るようにはなってんだよ」

「ふーん……」



…自分で聞いといて、なんだけど。



先生の夏休み事情とか。


そんな情報、今のおれにとっては正直、どうでもよくて。



「ハァ……」



机にめりこむくらいもたれかかって、ため息をこぼす。



思い出すのは、3日前のこと。はじめて。



…はじめて真子と、ケンカをしてしまった。



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