きみは金色
もう少し一緒にいたいって。
真子がそう思ってくれることが嬉しくて、でもどこか、切なくなった。
「…お互い第一希望受かったら、さ」
完全に電車が行ってしまうのを見届けてから、おれは真子に言った。
「旅行、いこう。今度こそちゃんとした、泊まりのやつ」
ずっと長く、一緒にいれるやつ。
バイバイって言わないやつ。
さみしいことを何も考えずに、2人で笑っている時間が、欲しいんだ。
「…そしたら別れる時間、気にしなくていいいだろ」
「……うん」
となりでゆっくり、真子はうなずいた。
その後もコクコク、何回も首を振って。
「うん、行こうね。レオくん」
…きっと大丈夫だ。大丈夫。
勉強のこと。2人のこと。
離れること。今からのこと。
何に対しての『大丈夫』かわからないけど、自分にそう、言い聞かせた。