きみは金色


「…あれ…っ、希美!?」



友達の声は聞こえないフリ。

くるりと向きを変えると、入ったばかりの教室を出ていった。



もうすぐチャイムが鳴る時間だろうけど、そんなのどうでもいい。


2学期しょっぱなが遅刻になったって、べつにどうでも。



新学期が始まる。


そのソワソワとは別に、今日あたしには、1つ気がかりなことがあった。



夏休みが始まったばかりの時のことだ。偶然、駅でレオに会った。


あたしはとても嬉しくて。


そして、全然悪気はなかったけど、あの子の志望校のことをレオに教えてしまって。



その時のレオは、ものすごくショックを受けていた。


どうしてかわからないけどレオは、あの子が遠くの大学を受験することを知らなかったみたいなんだ。



図ったわけじゃないけど、わたしがバラしてしまった。



だから2人がケンカして、ギクシャクしてないかって。夏休み中ずっと引っかかってて。


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