きみは金色

心配だったのに。心配してあげてたのに。

でもそれも、無駄だったみたいだ。



「……はっ、」



廊下を早歩きで進むと、息が切れる。


それでも一刻も早く、ここから離れたかった。



心配なんてしなくてよかった。レオを見て、すぐにわかった。



あの子と同じ真っ黒にした髪。

からかわれても、すがすがしい表情。



雰囲気でわかるよ。あの2人は、続いてる。



「ちょっと!そこの子……三浦さん!!もうチャイム鳴るわよ?教室に戻ってーー」



階段の踊り場。声をかけてきた女教師を、ギロリとにらみつける。


向こうがひるんで言葉を止めたすきに、あたしはまたパタパタとスリッパを鳴らして、さらに教室から遠ざかった。



「三浦さんっ!!」



うるさい。うるさい。


うるさい。黙ってよ、先生。あたしの脳みそ。


頭の中で声がする。さっきからずっと、『ウソつき』って言葉が回ってる。


< 281 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop