きみは金色
心配だったのに。心配してあげてたのに。
でもそれも、無駄だったみたいだ。
「……はっ、」
廊下を早歩きで進むと、息が切れる。
それでも一刻も早く、ここから離れたかった。
心配なんてしなくてよかった。レオを見て、すぐにわかった。
あの子と同じ真っ黒にした髪。
からかわれても、すがすがしい表情。
雰囲気でわかるよ。あの2人は、続いてる。
「ちょっと!そこの子……三浦さん!!もうチャイム鳴るわよ?教室に戻ってーー」
階段の踊り場。声をかけてきた女教師を、ギロリとにらみつける。
向こうがひるんで言葉を止めたすきに、あたしはまたパタパタとスリッパを鳴らして、さらに教室から遠ざかった。
「三浦さんっ!!」
うるさい。うるさい。
うるさい。黙ってよ、先生。あたしの脳みそ。
頭の中で声がする。さっきからずっと、『ウソつき』って言葉が回ってる。