きみは金色

真っ黒髪の、レオが振り向く。


黙っているあたしを、まっすぐ見つめる。



「希美」



そしてものすごく柔らかい顔で、あたしの名前を呼んで、言ったんだ。




「…夏休みんとき、真子の進路のこと。教えてくれてありがとな」





ガンーーーッ!!




「………っ、」




すごい音がした。


込み上げる気持ちを理解するより先に、体が動いて。



あたしは衝動的に、思いっきり、レオのイスを蹴っていた。




「い…っ!?痛ってぇ!!おいっ、なにすんだよおま…」

「かっこわるい」




ガンッ。もう1度、後ろからイスを
蹴る。



うつむいて、攻撃をしかけた自分のつま先を見て。


下向きになったあたしの視界に、レオのつま先も映り込む。




「……かっこわるい」




そんな頑張っちゃってるかんじ、すっごいかっこわるい。




「バカじゃないの……」





…うそ、かっこいい。





「カッコ悪いよ、レオ…」





…そんな風にちゃんと考えてんの、すっごいかっこいいよ。


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