きみは金色
本格的に、冬がやってきた。
秋が混じった冬と、冬だけの冬。その見分け方ってさ。
おれだけかもしんねーけど。チャリに乗ったとき、手ぶくろなしでもいけるかどうかでわかる気がするんだ。
ほんとに寒いと、風が冷たすぎてジンジンして。
感覚がなくなって、もう無理!!ってなる。
手がちぎれる感じがする。
でもジンジン痛むのは、手の先だけじゃなかったりして。
その痛みを、刺すような寒さでごまかして、おれたちは今日も笑ってるんだ。
笑って過ごすんだ。残り少ない日々を。きっと。
*
「…センセー方はぬくくていいっすね」
「あ?」
踏み入った職員室は、十分に暖房が効いていた。
ズビッと鼻をすすりながら、うらめしそうに目を細めて言う。
おれの目線の先にいるイワコウの服装は、セーターなしのYシャツ1枚。
制服の中に重ねに重ねて着込んでいるおれたち生徒とは、えらい違いだ。
ぬくい職員室とは反対に、教室には暖房器具が1つもない。