きみは金色
置いてくれてもいいのに、ヒーターくらい。一応、受験を控えた大事な時期なのに。
キンキンに冷えた教室に何時間もいるなんて、風邪を引きにいくようなもんだと思う。
「突っ立ってないで、そこ座れ。飯田。ほれ」
センセー方はぬくくていいよな。そんなおれのイヤミを、イワコウは華麗にスルーしてきた。
指さされたとおり、イワコウの隣の席に座る。
ぬくいところにあるイスは、やっぱりぬくかった。
…受験まで、あと3ヶ月を切った。
できれば避けたいと思ってた職員室に通うのも、今じゃもうすっかり慣れたもんだ。
2学期の半ばから、おれはマンツーマンで、イワコウに勉強を見てもらっていたりする。
なかなか上がらない成績を見て、イワコウがこりゃヤバイと思ったらしい。
…うん。
こりゃヤバイってのは、自分でも薄々気づいてたけどな。