きみは金色


「あー……うん。ごめん、やっぱいいっす」

「言いかけてやめるとか何様だお前」

「………」

「何」

「……そのー……だから、さ。高校から付き合って、そのまま結婚する、とかって。あると思う?」

「………」

「うまくいったヤツとかいんの?イワコウの……同級生とかで」



小さな声で言って、首をすくめる。


校舎内ではマフラーは禁止されているから、グッと肩を上げて、首の面積を減らすしかなかった。



「……いや」



おれの質問に、声を濁らせるイワコウ。


正直な答えだ。いけ好かないところはあるけれど、イワコウはウソをつかない人間だ。



「…ま、でも、ないわけじゃないだろ。世の中にはそういうカップルもいるわけだし」



後ろ首をかきながらそう言うイワコウに、おれはたずねた。



「離れても?」

「………」

「…遠距離に、なっても?」


< 297 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop