きみは金色


夕日の気配が、教室にも落ちてくる。


冬は、日の入りが早いから。ぼうっとしていたら、あっという間に置いていかれてしまうんだ。



前の季節までは、一緒に帰れていた放課後。


残り少ない真子と過ごせる時間を、おれは自分からなくしたようなものなのかもしれない。




でも本当に、余裕がなくて。


理想と現実は遠くて。


自分のことだけで精一杯で、潰れそうで。




…なあ、だって。こんなぐらっぐらした状態で一緒にいたらさ。




おれ。絶対思うよ。何回も思っちまうよ。


O大なんて落ちてしまえばいいのに、とか。またサイテーなこと。



ずっとどこかで、不安が消えない。



真子が志望校を変えて、それをおれに言えなかったこと。



たった1つ。



1つ言葉を言わなければ、近くにいたって、おれたちはあんなに簡単にすれ違ってしまうんだ。


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