きみは金色

足の裏が冷たい。


寒いのは大嫌いだけど、靴下も苦手。よって素足。でも足凍りそう。



…受験勉強って、おれには未知の世界だよなぁ。



ボロいつっかけに足を突っ込みながら、思う。


高校も運で入れたようなもんだし、おれにはまず、机に向かうって習慣がないし。



高卒で働く。



それは、入学当初から決めていたことだった。



おれの実家は青果店を経営してるけど、不況とやらにあおりにあおられて、うちには、バクダイな学費を払って行く余裕がない。


家のために、って言うと聞こえがいいけど。勉強は大の苦手だから、ちょうどよかっただけだ。



就職先は、みんなより早く決まった方だった。


レオみたいに時間がいくらあっても足りねぇ、みたいなことはなくて、持て余しまくり。金はないけど、時間富豪。


その時間を利用して、おれは教習所に通ってバイクの免許を取った。


< 321 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop