きみは金色


長かった、受験が終わった。


勉強していた期間はあんなに苦しかったのに、終わってみれば、なんだかあっという間だった気もする。




「「かんぱい」」




合わさって、チン、と鳴った2つのカップ。


やっと目を合わせて、おれたちははにかみ合う。



口にしたコーヒー。


受験日の朝に流し込んだ、苦いだけのインスタントコーヒーに比べて、今日のは格段においしい気がした。



さかのぼる、受験の日のこと。


試験の最中のことは、緊張しすぎてあんまり覚えてない。



でもたしか、真子と問題を出しあったとき覚えた単語は、いくつか出てきたと思う。



あと、イワコウに何度も繰り返しやらされた数学の問題も。



間違えまくって、しまいには脳天チョップ入れられた覚えがある問題だ。



見慣れたものを見つけたからか、ちょっとホッとして。


焦ってボロボロになるなんてことはなくて。


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