きみは金色
1度見つけたエサを逃がすまい、とするのは、野生動物だけじゃない。
おれたち高校生だっておんなじだ。
しかも、すっかり学校生活に慣れて。
わりと退屈で、なかなかに刺激を求めたくなる高校2年の時期であれば、なおさら。
…そういう意味で、おれはかっこうのエサになってしまったようだった。
*
「ドーナツ食いてえー…」
にぎやかな、朝の教室。
おれの席までやってきた裕也は、大あくびしながらそんなことを言ってきた。
ドーナツ丸々1個、入ってしまいそうな口のサイズ。
プラス、ものすごく切実な声だ。声とセリフが合ってない。
「なーレオー、次の100円セールいつだっけー?」
「…知らん」
「18日だっけー?19?」
「話聞いてないだろお前」