きみは金色
わざわざ持ってきたのか、それともどこかから拾ってきたのか。
ドーナツ店の広告を、勝手におれの机の上に広げ始める。
「だから知らねーって。裕也、ほんと甘いモン好きな」
「んー、好き。大好き。砂糖でコーティングしてるヤツなんか特に最高〜。けど最近おれがハマってんのは、中にカスタードと生クリームが…」
「…あっそ。話だけで胸焼けするわ」
「もーったいねぇなぁ!!甘いモンそんな好きじゃないとか、人生の半分ソンしたよーなもんだしー」
裕也の間延びした声を聞いていると、朝の時間でも、まるで昼下がりにいるような気がしてくる。
とがった髪とは似ても似つかない、たぷんとしたアゴを見て思った。
…砂糖とかクリームとかカスタード、だっけか。
大量に摂取したカロリーって、やっぱちゃんと、蓄えられるもんなんだな。
裕也の先行きが心配だ。
クマはクマでも、某テーマパークの黄色くて腹が出たクマにそっくりになる可能性が、非常に高い。