きみは金色

わざわざ持ってきたのか、それともどこかから拾ってきたのか。


ドーナツ店の広告を、勝手におれの机の上に広げ始める。



「だから知らねーって。裕也、ほんと甘いモン好きな」

「んー、好き。大好き。砂糖でコーティングしてるヤツなんか特に最高〜。けど最近おれがハマってんのは、中にカスタードと生クリームが…」

「…あっそ。話だけで胸焼けするわ」

「もーったいねぇなぁ!!甘いモンそんな好きじゃないとか、人生の半分ソンしたよーなもんだしー」



裕也の間延びした声を聞いていると、朝の時間でも、まるで昼下がりにいるような気がしてくる。


とがった髪とは似ても似つかない、たぷんとしたアゴを見て思った。


…砂糖とかクリームとかカスタード、だっけか。


大量に摂取したカロリーって、やっぱちゃんと、蓄えられるもんなんだな。


裕也の先行きが心配だ。


クマはクマでも、某テーマパークの黄色くて腹が出たクマにそっくりになる可能性が、非常に高い。


< 51 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop