きみは金色


ーー飯田礼緒は、市ノ瀬真子が好き。


そのウワサも、面白いくらいあっという間に広まってしまった。


最初のうちは「そんなんじゃないし」とか言って否定していたけど、キリがないし。

今じゃもう、面倒くさくなってきたっていうか。


しかも、それは、なんていうか。


ウソじゃ、ないっていうか。



…実際、本当なわけで。




「〜うわっ!?レオ、それ割引き券ついてんのにーっ!!」

「うるせ」



からかわれてムカついたから、裕也から広告を引ったくって、クシャクシャに丸めてやる。


教室のゴミ箱に向かって投げたけど、ギリギリのところで弾かれて、外れてしまった。


ため息をついて、机につっぷす。


息を吸い込んだら、古っぽくてかぐわしい木の匂いがした。


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