きみは金色
…市ノ瀬が、好きだ。
そう自覚してしまってから、おれはどうも調子が狂いっぱなしだ。
冷静でいられないし、いつもイライラ、ソワソワ。
腹ん中で変な液体が沸騰しかけてるかんじが続いてる。実際変なんだよ。だって。なんつーか。
…市ノ瀬が可愛く見えて、しょうがないんだ。
授業中、ピンと伸びている背骨も。
耳より少し低い位置に結ばれたおさげも。
先生に呼ばれて、「ハイ」って答える、控えめな声も。
シワにならないよう、ヒダスカートを整えて座る動作も。
何なんだこれって思うくらい。
全部が全部、ものすごく貴重なものに見えてくる。
気づいたこともあるんだ。
市ノ瀬の靴を置く場所が、おれの下段だったってこと。