その"偶然"を大切に
そういうと「そんなの嘘だ」と言われるかもしれない。人は、優しくなれるけれど、同じように傷つけることもできるし、残酷にもなれるから。平気で嘘もいうし、騙すこともある。
個性が大事、中身が大事といって……一般ではイケメン、美人がモテるというのもある。
そういう矛盾に、いつもひりひりとさせられる。
だからこそ、決めつけたくない。
自分の目で、耳で確かめたい。
知っていきたい―――そう思う。
「明日香さん、どうかした?」
「ううん。ほら、今日も奈美は時間ぎりぎかなって」
「多分そうだろうな」
いつどこでどんな風に繋がりが出来るかわからない。些細なことが、様々なことに繋がっていくことだってある。
だから。
これから出会う人、回りにいる人を私は大切にしますように。
「何よ何よ、朝からいちゃこらしてー」
「いいだろう?」
「え、え?ちょっと変なこと言わないでよ奈美!」
珍しく朝早く講義室に先にきていた奈美に、にやにやとされながら、私はそう願った。
了