その"偶然"を大切に
二日目
―――――二日目。
何故。
掲示板の前にいた私を前に、ずーんと立つのは男の人。昨日の"あれ"の時の人らしい。
といっても、ただ立っているだけの普通の距離でも人の顔は全くわからないので一瞬「誰?」となる。
「昨日は本当にすみませんでした」
「ああ、うん。大丈夫ですから」
―――どうやら私は、男の人が少々苦手なのかもしれない。
まるで未知との遭遇。
巨人と小人。いや、そこまで差はないだろうが。
とにかく私は大学生であるが、交友関係はかなり狭く、そして異性の知り合いは皆無。
つまり、だ。
奈美いわく、「男慣れしてなさそうだもんね」だそうだ。失礼な、と思うものの彼女のいうことは正しい。
ずーん。
目の前に立つ男の人は、まさにそんな感じだった。その辺にいる細めな男子学生とは違ってどこかこう、逞しいさもある。モザイクがかった視界では全て"らしい"だから何ともいえない。
「あれ、何してるのよ」
「……奈美」
「しかも千住くんも一緒だなんて。って明日香、眼鏡は?」
千住?
それよりもまずは奈美の疑問に答えなくては。コンタクトに?などのそれに私は首をふる。