久しぶりだね初対面
どうしてこんな事になったんだ?

どうやって元の時代に戻るんだ?

いやそもそも…戻れるのか…?

考えれば考えるほど、最悪の事態が頭を掠めていく。

頼る人間のいない、11年前の時代に一人飛ばされてしまった。

両親を頼ろうかと思ったが、すぐに却下した。

だってそうだろう?

11年前って事は、この時代には11年前の俺もいるって事だろう?

まだ四歳だった頃の俺が。

そんながきんちょな俺を育てている両親の目の前に、十五歳の俺が出て行って、どうして信用してくれるんだ?

それにほら、アレだ、SF映画かなんかで見た事がある。

タイムパラドックスって奴か?

未来の俺と過去の俺が接触したら時間の歪みが生じてどーのこーの、だっけ?

とにかくそういうのを抜きにしても、どの面下げて両親に会いに行くんだ。

…いよいよ事実が重くのしかかる。

俺は、一人なんだ…。

この時代に、俺を助けてくれる奴はひとりもいない…。

鈍器でガツンと殴られたような衝撃を感じ、俺は塞ぎこんだ。


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