久しぶりだね初対面
とりあえず今がいつ頃の時代なのか分かって安心する。

もっとも、安心してはいけないのだが。

で、安心したせいだろうか。

「あ」

俺の腹が、派手に鳴った。

「…うふふふふっ」

女の子が笑い出す。

「お腹すいてるのぉ?」

「あ、いや、まぁ…」

俺は女の子の顔を見て照れ笑いを浮かべた。

仕方ないだろう?

ここは縁日で、周りは屋台だらけで、焼きそばやたこ焼き、イカ焼き、りんご飴なんかの香りが漂っている。

否が応にも食欲をそそられるというものだ。

どうやって元の時代に戻るかは後で考えるとして、とりあえずこの香りの中で何も食べないのは、帰るに帰れないような気がした。

「向こうで焼きそば売ってたよ」

親切に女の子が言う。

「そうか。じゃあ行ってみるかな」

「うん、案内してあげる!」

女の子はテクテクと歩き始めた。

折角なので俺も彼女の案内に任せる事にする。




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