久しぶりだね初対面
近くの石段で座って食べようと女の子が言うので、俺はその提案に従う事にした。

二人並んで石段に座り、他愛ない話をしながら、俺は焼きそばを、女の子はチョコバナナを食べる。

お互いに食べ終わるのを待って。

「小銭入れに、キーホルダー付けてるんだな」

俺はそれとなく訊いてみる。

「んー?」

女の子は嬉しそうに小銭入れを取り出し、何だか誇らしげにキーホルダーを俺に見せた。

「いいでしょー?」

「ああ。どうしたの?それ。買ったの?」

「もらったー」

「誰に?」

「んー…」

女の子はしばらく俺の顔を見ていたが。

「わかんない、知らない人」

そう言って、えへへ、と笑う。

まぁ無理もないか。

この子が双葉だとしたら、デパートの時の彼女は当時四歳。

四歳の頃の事を覚えている訳がない。

「私このアニメ好きなんだー」

女の子はキーホルダーを見つめながら言う。

「このアニメで出てくるタイムマシンみたいなの、私も欲しいの」

嬉しそうに女の子は語る。

「そしたら、いつでもどんなとこでも行けるでしょ?」

そんな気軽なもんじゃないぞ、時間移動って。

実際に現在進行形で経験している俺が言うんだから間違いない。

そう思ったが、子供の夢を壊す必要もないので言わずにおいた。

「どこに行ったらあるかなー?タイムマシン」

「そうだなー、お前がうんと大人になったら、あるかもな」

「そんなに待てないよー」

頬をぷくっと膨らませる女の子。

「じゃあ…」

俺はクスッと笑う。

「自分で作ったらいいんじゃないか?」


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