久しぶりだね初対面
昨日夜更かししたせいで睡眠が足りていない。

起きているんだか寝ているんだか、聞いているんだかいないんだか、といった午前の授業が終わり、昼休み。

俺は鞄の中から弁当を取り出し、クラスで適度に仲良くなった連中と机を突き合わせて昼飯を食べる事にした。

箸を取り出し、おかずのミートボールをつまみ上げる。口の中に運ぼうとした、まさにその時。

「久我君！」

突然名前を呼ばれた。

つまんだミートボールをそのままに、俺は顔を上げる。

…女生徒が立っていた。

長い髪をツインテールにした女。

背は俺より頭ひとつ分くらい低いだろうか。

端正なその顔立ちは、街中を歩いていると大抵の男が振り向くような、あるいは芸能オーディションに応募すれば一次審査は確実にクリアできそうな、それ程のルックスだった。

そんな女が、俺の目の前に立つ。

「久我君一年だったんだね。私てっきり上級生かと思って、昨日二年や三年の教室ばっかり探してたんだよ？」

はて…こいつ誰だっけな…親しげに話しかけてくるところを見ると、どっかで会ったのかな？

記憶の糸を手繰り寄せるものの、なかなか思い当たらない。

「それにしても隣の５組だったとはねー。私６組なんだよ？これなら授業の合間の休憩時間でも会えるね」

そう言って女はたまらなく嬉しそうな顔をした。



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