久しぶりだね初対面
知らなかった。

双葉はこんなにも俺の事を想っていたんだ。

俺が彼女の事を知るずっと前から、俺の事をここまで想っていてくれたんだ。

…告白を終え、双葉は黙り込む。

自分の想いを全て告げた後で、急に恥ずかしくなったのかもしれない。

「あ…あはは…ごめんね、勝手な事ばっか言っちゃってさ…こんなのキモイよねえ、ストーカーじゃんねぇ、これじゃ」

照れ隠しに笑う双葉。

しかし。

「奇跡じゃねえよ」

俺は呟く。

「さっきお前言っただろ。会えたのは奇跡だって。
奇跡じゃねえ。俺は双葉に会うために、ここに来たんだ」

「く、久我君…」

俺の言葉に、双葉は涙を溢れさせる。

その表情がたまらなく可愛くて…。

…俺は、俺の時代で双葉に言われた事を思い出していた。

ファーストキス奪ったくせにって言ってたっけな。

俺はあの時、そんなの知らないって言ったけど…。

「すまん双葉、やっぱ犯人は俺だった」

「え?」

何の事かわからない、といった表情の双葉の肩に手を置き、俺は唇を重ねた…。



< 72 / 88 >

この作品をシェア

pagetop