ないしょの贈り物
そう言ってパパは箸で固焼けの黄身を摘んであたしの口元に運んだ。

「……いらない……」

あたしはそう言って首を横に振る。


「遠慮すんなよ! ほら。」

パパは笑って食べるように薦める。

「嫌! いらない!」


あたしはそんなパパの手を払い除けてしまった。

ベチャ!

パパが作った形の悪い目玉焼きはフローリングに落ちた。

「……あっ……」
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