ないしょの贈り物



手を払いのけてしまった事にパパは悲しそうな表情を浮かべた。



そんなパパの表情にズキズキと見えない針が心に刺さる。



「……ゴメンなさい……」
そう一言、素直に謝ればいいのに唇が動いてくれなくて……。



あたしはパパから視線を逸らし無言で俯いた。

パパは、何も言わず、黙って床に落ちた目玉焼きの片付けをしていた。


不気味な程静かなリビングに食器を片付ける音が鳴り響いた。
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