勝手な恋
「3years ago... There was a-....」
聞こえてきたのは、ネイティブかってぐらい流暢な英語。
私は驚いのあまり、教科書を落としそうになった。
そして、なにより驚いたのは、立ってスピーキングをしている先輩の容姿。
すらっと背が高く、爽やかな印象で色素の薄い茶色がかった髪の毛。
羽多野先輩に間違いないんだよね?
あんなにかっこいい人だとは思ってなかった。
きっとお勉強ができるから、メガネで髪の毛なんかもボサボサでってイメージしてたけど(剛は違うのになんでだ)、全然違った。
「かっこいい…」
私の心は、すっかり羽多野先輩に奪われてしまった。
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「…ときっ…ことき!」
剛の私を呼ぶ声でハッとする。
あれ?私あの後どうやってここまで帰ったのかな?
帰路の記憶が全くない。
「ったく、教科書取りに行ってからずっとぼーっとして。恋春らしくねーぞ。」
「…ねぇ、剛一目惚れって…あるのかな?」
「…。はぁぁぁぁあぁぁああ⁈‼︎」
剛のものすごい声が静かな図書室中に響き渡る。
当然、司書の先生に私たちは怒られ、周りにも気まずいし、帰ることになった。
「だって恋春が一目惚れとか言うからー…。」
帰り道でもぶつぶつ言ってる剛。
まだぼーっとしてる私にムスっとする。
「ちょっと恋春ちゃん、ここに座りなさい。」
指差したのは偶然あった自動販売機の横のベンチ。
「えぇ〜。小姑ー。」
「いいから!」
剛がいきりたって言うもんだから、しぶしぶ座った。
ものすごい無言でジュースを2本買うと、1本私に差し出した。
「ありがと。」
「…ね、一目惚れって誰に?」
少し寂しそうに剛が言葉を発する。
「…先輩。」
「だれ?おれの知ってる人?」
「…羽多野先輩。」