勝手な恋






「はぁあぁぁぁ?!」




しばらくあった沈黙を破ったのは剛だった。


「うっそつけ!だってついさっき…」


「ついさっきね、」


私は剛にさっきの事を話した。





羽多野先輩って名前を口に出すだけで


ドキドキする。


先輩の姿を思い出すだけで


気持ちがふわふわする。





やっぱりこれって恋ですか?




話終わったら、剛がものすごく大きなため息をついて、


ぎゅっ


私の手を握った。


「な、なに?」


あまりに真剣な剛の目つきについつい目をそらしてしまいそうになる。



「…。あのさ、恋春がこの先傷つかないように、今傷つけてい?」


「なに言って…」







「羽多野先輩、彼女いるよ。」








はい、失恋確定。










「…。ばか剛。あんなに素敵な先輩だもん、彼女さんくらいいるよっ。」


「…すっごく綺麗な彼女サン。」





だよね。


私なんか絶対無理。


でもね、剛。


私はじめてなんだ。


誰かのことを"好き"って感じるの。


だから、お願い。


もう少しだけ、勝手に恋させてください。


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